2024年11月12日、東京地方裁判所は、vKirirom Japan株式会社および同社代表取締役の猪塚武氏が谷俊二氏に提起した損害賠償請求訴訟において、谷俊二氏によるブログおよびYouTubeチャンネルの投稿の一部が名誉毀損に該当するとして、谷俊二氏に損害賠償金の支払いを命じる判決を言い渡しました。これに対し、谷俊二氏は第一審判決を不服として控訴しました。
訴訟の背景
vKirirom Japan株式会社は、2020年当時キリロム工科大学を運営していたA2A Town (Cambodia) Co., Ltd. (以下「A2A」)と日本国内でのマーケティング支援に関する包括的業務委託契約を締結していました。vKirirom Japan株式会社、A2Aはともにシンガポール法人の vKirriom Pte. Ltd. を100%親会社としておりこれら3社を含む企業グループを総称してキリロムグループと呼んでいます。
本件は、谷俊二氏がブログおよびYouTubeで、キリロムグループならびに猪塚武氏に関する批判的な投稿を行ったことが発端です。投稿内容には、キリロム工科大学の運営や教育内容、衛生環境、さらには猪塚武氏個人に対することが含まれていました。これによりキリロムグループと猪塚武氏は社会的評価が著しく低下したとして、谷俊二氏に対して損害賠償を請求しました。
一方、谷俊二氏は、猪塚武氏からカンボジアで刑事告訴を受けたことや名誉毀損的な発言を理由に反訴を提起していました。
判決の概要
東京地方裁判所は、谷俊二氏の投稿のうち、以下の内容を含む部分がvKirirom Japan株式会社及び猪塚武氏の名誉を毀損する不法行為に当たると判断しました。
- キリロムグループがオウム真理教と同様の団体であるとの主張
- 猪塚武氏が報道機関を利用してキリロムグループの投資に関する虚偽の情報を流布したとの主張
- キリロムグループがゴルフ場建設資金をキリロム工科大学学生寮の家賃保証に流用しようとしているとの主張
- キリロム工科大学が学生への学費返還義務を履行していないとの主張
- 猪塚武氏が女子学生に投資家への接待を強要しているとの主張
- 猪塚武氏がキリロム工科大学学生に暴行・脅迫・監禁・傷害を加えたとの主張
- 猪塚武氏が脅迫・暴行・傷害事件の刑事裁判の被告人であるとの主張
- 猪塚武氏が未成年への暴行・傷害事件の容疑者であるとの主張
他方で、裁判所は、以下の投稿については真実ではないが谷俊二氏が真実と信じる相当な理由があったと認定し谷俊二氏は免責されるとしました。
- 猪塚武氏がキリロム工科大学構内にラブホテル建設を検討しているとの主張
- キリロム工科大学が無償で学生を労働力として利用しているとの主張
また、裁判所は、以下の内容を含む部分については、真実性の抗弁が成立し谷俊二氏は免責されるとしました。
- キリロム工科大学の副学長及びA2Aの副社長が学生を脅迫したとの主張
- キリロム工科大学が不衛生な食材管理を行っているとの主張
反訴判決の概要
裁判所は、谷俊二氏による反訴請求をすべて棄却しました。その詳細は以下の通りです。
1. カンボジアでの刑事告訴の違法性について
- 猪塚武氏が谷俊二氏をカンボジアで刑事告訴した理由は、谷俊二氏がブログにおいてA2Aの事業を違法であると非難したことに基づいていました。
- 裁判所は、A2Aの事業について、当時の法律において開発許可が不要であったことを認定しました。そのため、猪塚武氏の告訴は正当な権利行使であり、違法性はないと判断されました。
- また、谷俊二氏の告訴時に住所を故意に偽って申告したという証拠も認められないと判断されました。
2. 猪塚武氏の発言①について
- 猪塚武氏は、谷俊二氏がブログで「多数の虚偽情報を発信している」と発言しました。
- 裁判所は、谷俊二氏の投稿が猪塚武氏の名誉を毀損する内容を多数含んでいると認定しました。そのため、猪塚武氏の発言は正当防衛に該当し、違法性はないと判断されました。
3. 猪塚武氏の発言②について
- 猪塚武氏は、谷俊二氏が「A2Aの事業を違法であると虚偽を述べている」と発言しました。
- 裁判所は、当時のA2Aの事業が開発許可を必要としない合法的なものであったと認定しました。そのため、猪塚武氏の発言は事実に基づいており、正当なものであると判断されました。
- また、谷俊二氏の先行する投稿によってA2Aの名誉が既に毀損されていたため、猪塚武氏の発言は正当防衛に該当し、違法性がないと認定されました。
判決の結論
裁判所は以下の通り判決を言い渡しました:
- 谷俊二氏は、vKirirom Japan株式会社に110万円、猪塚武氏に55万円の損害賠償金を支払うこと
- 上記金額に対する遅延損害金を支払うこと
- 谷俊二氏の反訴請求は全て棄却
vKirirom Japan株式会社および猪塚武氏は、第一審判決を真摯に受け止めるとともに、控訴審においても引き続き当社の主張を丁寧かつ適切に展開してまいります。また、控訴審の進展を注視しながら、教育機関としての社会的責任を果たし、信頼される企業であり続けるよう努めてまいります。
本件に関するお問い合わせ先
vKirirom Japan株式会社
電話番号:0879-43-0311
2024年12月6日
vKirirom Japan株式会社
代表取締役社長 猪塚武
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